トークノミクス入門、優良プロジェクトの見極め方

トークノミクスの設計は、トークンメトリクスという具体的な数値指標に落とし込まれます。ホワイトペーパーや公式サイトにあるこれらの数値は、プロジェクトの真の姿を映し出しています。

 

3.1. 視点1：総供給量（Total Supply）と初期流通量（Initial Circulating Supply）

 

• 総供給量（Total Supply）: 発行されるトークンの最大数です。ビットコインのように上限が定められているものもあれば、イーサリアムのように無制限に発行されるものもあります。一般的に、供給量に上限があるトークンは、希少性が高まりやすいとされます。

• 初期流通量（Initial Circulating Supply）: プロジェクトのローンチ時点で市場に流通するトークンの数です。総供給量に対して初期流通量が極端に少ない場合、今後大量のトークンが放出される可能性を意味し、価格下落リスク（売り圧力）に繋がることがあります。

 

3.2. 視点2：トークン分配（Token Allocation）

 

総供給量がどのように分配されるかを示す比率です。

• チームへの配分: チームへの配分が多すぎる場合、将来的な売り圧力が懸念されます。一般的に、20%〜30%程度が妥当とされます。

• コミュニティへの配分: コミュニティへの配分が多いほど、ガバナンスや報酬を通じてユーザーがプロジェクトに積極的に関与できるため、健全なエコシステムが構築されやすい傾向にあります。

 

3.3. 視点3：ロックアップ期間と放出スケジュール（Vesting Schedule）

 

• ロックアップ期間（Lock-up Period）: 開発チームや初期投資家が保有するトークンを、すぐに売却できないようにする期間です。これにより、ローンチ直後の大量売りによる価格暴落を防ぎます。

• 放出スケジュール（Vesting Schedule）: ロックアップされたトークンが、いつ、どれくらいの期間をかけて徐々に市場に放出されるかを示すスケジュールです。この計画が明確であるほど、投資家は安心して長期的な投資判断を下すことができます。

 

3.4. 視点4：トークンの用途（Utility）と需要喚起

 

トークンがどのような「実用性」を持つかが、その価値を決定づけます。

• ガバナンス: トークン保有者がプロジェクトの方向性に関する投票に参加する権利です。

• ステーキング: トークンを預け入れることで、ネットワークの維持に貢献し、報酬を得る仕組みです。

• サービス利用料: 特定のサービスを利用するためにトークンを消費するモデルです。

• バーン（Burn）: トークンを永久に流通からなくすことで、供給量を減らし、希少性を高めます。この機能は、トークン価格の長期的な上昇要因になり得ます。

 

3.5. 視点5：ガバナンスモデル

 

トークン保有者がプロジェクトの意思決定にどれだけ関与できるかを示す仕組みです。民主的なガバナンスモデルを持つプロジェクトは、コミュニティのエンゲージメントが高まり、持続的な成長を期待できます。

 

3.6. 視点6：インフレとデフレの設計

 

• インフレ型: マイニングやステーキング報酬などでトークンが継続的に発行されるモデルです。供給量が増えるため、一般的に価格が下落しやすい傾向にありますが、ネットワークの維持には不可欠です。

• デフレ型: トークンがバーンされるなどして、供給量が減少していくモデルです。希少性が高まるため、理論上は価格が上昇しやすいとされます。

 

3.7. 視点7：エコシステムの持続可能性

 

トークンがどのようにしてプロジェクトの経済圏を循環し、持続的な成長に貢献するのかを理解することが重要です。単に「トークンを配る」だけでなく、そのトークンが消費され、再び経済圏に戻ってくる健全なサイクルが描かれているかを確認しましょう。